ダイエットFの榊@管理栄養士です。
毎日新聞の朝刊から、更年期障害についての記事連載があります。
最近、プレ更年期か、30代から体調を崩す女性も増えてきているように思います。
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今どきの更年期:/2 閉経前、増えるうつ症状
◇投薬1〜3年で改善 周囲は理解し支えて
2年前の2月、東京都在住の団体職員、中田房江さん(52)はいつも通り、午前6時半に起床した。家族4人の朝食、夫と自分の弁当を作り、8時過ぎには家を出た。駅のホームで疲れを感じ、ベンチに腰を下ろした。電車が入ってきたので立ち上がろうとしたが、激しいめまいと耳鳴りに襲われ、立ち上がれなかった。体に力が入らないまま、何本もの電車が目の前を通り過ぎていく。30分後、職場に休みの連絡を入れた。中田さんは働きながら、子ども2人を生後3カ月の時から、保育所と無認可保育所との二重保育で育ててきた。子育てが一段落した45歳からは仕事が多忙を極め、休日出勤はもちろん、深夜のタクシー帰りも頻繁になった。それでも、家事と仕事を両立しようと奮闘。「仕事が好きだったし、逆に仕事に支えられてがんばれた」という。50歳で、それまでと仕事内容が異なる部署へ異動になった。このころから月経が不順になり始めていた。駅のベンチで立ち上がれなかったのは、異動の9カ月後のこと。翌日も同じように家を出たが、電車に乗れない。家族にも言えないまま、同じ状態が1週間も続いた。家庭用医学書を読んで「更年期かもしれない」と思い、更年期外来のあるクリニックを受診した。ホルモン量は減少していたが、身体的な異常はなく、「更年期特有のうつ傾向」と医師に告げられた。「自分に何が起こったのか、最初は分かりませんでした。毎日死にたいと思い、眠れない日が続き、苦しくつらかった」家に閉じこもり1年半の休職。最初は声を出すのも体一つ動かすこともできなかったが、少しずつ改善し、現在はカウンセリングを受けながら、漢方薬と抗うつ剤を服用している。昨冬から復職を果たしている。
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更年期の多様な症状の中でも最近、うつ症状を訴える人が目立っている。女性ホルモンのエストロゲンは、脳内の神経伝達物質セロトニンの合成を促し、その受容体を増やす働きがある。エストロゲンが低下するとセロトニンが減り、気分の変化が大きくなって、うつ症状が出やすくなるとされる。
ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(東京都中央区)は、婦人科とともに心療内科を開設し、更年期に対応している。治療にあたる精神科医の皆川恵子さんは「更年期の症状で来院する女性の半数以上は、メンタルな問題を抱えている」と指摘する。 30〜40代のプレ更年期を中心に、「元気が出なくなった」「動きたいのに気が抜けたみたい」「しっかりした手応えがない」などの訴えが多い。肩こりや頭痛、めまいなどの体の不調にも、心因性の可能性がうかがわれるという。
更年期の一過性の症状か、うつ病かを見分けることも重要で、皆川さんによると相違点も見られるという。「更年期うつ」はほてり、動悸(どうき)などの身体症状に先駆けて、閉経前にうつ傾向になりやすい。このため40代に圧倒的に多く、多くの人は閉経とほぼ同時に症状が緩和する。 また、うつ病の患者は午前中に元気が出ず、布団から出られない人もいるが、「更年期うつ」は朝は何とか起きて家事などをこなすものの、二度寝をしたくなったり、夕方から疲れが出て何も手につかなくなる。月経前や排卵時に症状が重くなり、ホルモン周期と関連が深いという。
治療法は症状に合わせ、(1)抗うつ剤、精神安定剤(2)漢方薬、ホルモン補充療法(3)両者((1)と(2))の併用−−があり、「軽い人は薬の治療で半年ほどで症状が緩和します。通常1〜3年服用しているうちに良くなります」と皆川さんは話す。職場環境や人間関係が変わる春先は、気丈に働いてきたキャリア女性が、うつ症状に見舞われることがある。更年期の年代は仕事上も責任が重くなり、心のバランスを崩しやすい。会社が状況を理解し、休職などのサポート体制をとる必要があるが、そのまま退職に追い込まれるケースも少なくない。
「仕事のストレスをはじめ、子離れや親の介護、夫婦関係なども加わり、精神的に落ち込みやすくなる」と語る皆川さん。「周囲の人は、『何でそうなったの?』と責めないでください。家族は励ましたり慰めるより、掃除、洗濯、料理を手伝ってあげてください。何よりの励ましになります」と呼びかけている。【小川節子】=つづく
◇更年期の月経
多くの女性は、40歳を過ぎるころから卵巣の機能が低下し、女性ホルモンが減少し始める。これにともない月経周期が不規則になり、それまで35日程度と長めの周期だった人が27日程度と短くなったり、逆に短かった人が長くなったり、時には月経が終わった後、すぐに出血が起きたりする。40代後半には、周期が乱れて「いつ来るか分からない」状態になることもある。月経がない状態が1年続けば、閉経したと考えられる。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100406ddm013100072000c.html
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毎日新聞 2010年4月6日 東京朝刊